鏡の世界

汗にじむ
絡む
溶ける

時間がない
時間がない
自由はない
禁忌な純愛


「・・・・あっ」
思わず声が出る。
シルクのシーツは簡単に声にあわせて歪む。
僕はベッドに横たわっている。
馨が僕のを口に含んでいる。
完全に僕の弱いところばかりを攻めてくる舌。
僕のことを知り尽くしているんだろう。

相手はずっと馨だった。
一番最初にしたときには抵抗もあった。
だって、本の中にいたのは男と女の人だったから。
僕等は兄弟だったから。

けれど僕等には、お互いしかいなかた。



『ためそうか?』

そう言ったのは多分僕だ。



「・・・っん・・」
先を吸われ、意識を今に引き戻される。
馨は僕の体液と自分の唾液まみれの口で言う。
「相変わらず、境目のとこ、弱いよねえ」
親指と人差し指の先でグリグリと攻め立てる。
「・・・あっ・・・」
「イキそう?」
「・・・結構、やばいか・・・もっ」
「へぇ、早漏じゃん」
「・・・最悪。早くイカせてよ。下手糞」
いきなり根元をきつく締められた。
「そういうこと言うんだ。じゃあ絶対にイカせない」
根元を閉められたまま、馨の舌が先をくすぐる。

マジで最悪。血の巡りがどうにかなりそう。

「・・・なに?『イカせて下さい。ご主人様』とでも言われたいわけ?」
「似合わな過ぎて萎えるね。その台詞。・・・・ねえ知ってた?」
僕の答えを待たずに馨は激しく舌を使った。
「・・・んぁ・・ああっ」
僕も答える術を持たないまま愛撫は続いた。



僕等の世界は2人だけでも凄く豊かだった。
物に溢れ、感情に溢れていた。
僕等以外に誰が必要なの?
セックスは僕と馨だけでできる。
世界を守るための手段にみえた。
僕等以外の世界は生温かささえ感じない記号。



「我慢するほど絶頂が気持ちいいんだってよ」

その瞬間いきなり根元を解放された。
馨の声と僕が白濁した欲望を放つのは同時だった。
僕とシンメトリーの顔が欲望に汚れる。
「顔射なんていい度胸だね」
けどひどく、よかった。
虚ろな眼の僕を見て、馨は顔に付いた白濁液を拭って舐める。

僕は白いその手首を掴んで引き寄せた。
「こんなの何処で覚えたの?」
馨の顔を舐めながら不安になった。
世界の崩れる音がすぐそこに聞こえる。


「光以外に僕に誰がいるの?」


顔も体も心もベクトルも全部同じで何がいけないの。
外界の侵食を恐れているのは僕だけじゃないのかもしれない。

もっと凄い快感を馨に与えてあげよう。
僕は笑う。









(060528)