天動説




世界の回る音が聞こえる。


あの小さなゲームの画面は教室よりも何倍もマシだった。
僕等はあの夏の日をプログラムで作られた世界を追うことで過ごしていた。

周りは僕等を蔑視していた。
或る女子は僕等に付きまとった。
或る教師は僕等に媚を売った。
或る生徒は妬みから陰口を。



全部が全部、うざったいよ。





外見がいいから?
家が金持ちだから?
僕等が双子だから?

普通の振りをしてクラスメイトに混じれっていうの?



息苦しくて。息苦しくて。
『義務教育』
その名のとおり、僕等にとっては苦痛を伴う義務だった。




太陽はジリジリと地球を焼いていた。
蝉の声はこの世の終わりみたいに聴こえた。
社会の教師はルネサンスについて話している。
そんなのとっくの昔に知ってるよ。


「「ガタンッ」」


椅子と床とが音を出すタイミングは一緒だった。
そのままお互いの顔も見ずに鞄もそのままに、蝉の翅の色をした廊下を駆け抜けた。
後ろから教師の声が追いかけてくる。



走る。



走る。



走る。






僕等はあの日。笑っていた。
蝉の声が僕等を祝福した。
世界には僕等2人しかいない。






世界は僕等を中心に回っている。













(060601)